こんにちは。蓮水椿です。
ANIPLEX.EXEより6月19日に配信開始された新作PC向けノベルゲーム「ATRI」を早速プレイしたので今回はその紹介をします。
ストーリー
海面上昇により世界のほとんどが海に沈み、夜は電気が無いような荒廃した世界で、義足の主人公がアトリという超最先端ロボットを海底からサルベージし、失った足の代わりとして生活を共にしていく。
幼馴染の女の子が小学生相手に先生をしている廃校した学校を再興するために科学の先生として発電機を作ることに。しかし完成した風力発電機は豆電球がぼんやり光る程度だった。
忘れ物を取りに夜の学校に戻ると、学校に住んでいる少女が豆電球の明かりで本を読んでいた。水没したこの世界では電気が通っていないため、豆電球程度でも少女にとっては嬉しかったらしい。
そして少女のためにも、もっと巨大な発電機を学校に作ることになる。
以上が序盤のシナリオですが、やはり制作がフロントウイング×枕だけあって面白い!
そして2000円とは思えないサウンドとグラフィック。
これはノベルゲーム全体に言えることですが、シナリオの要所要所に教養になるような学びが埋め込まれているのが良いです。例えばISLANDなら哲学で、G線上の魔王ならクラシック、月に寄り添う乙女の作法なら服飾で、今回のATRIではエネルギー保存の法則や位置エネルギーなど科学を社会人になって再び学べるのは本当に良い。
ちなみにISLANDの相対性理論のところは本当に鳥肌立ってヤバかったので今度紹介します。ISLANDはエロなしのノベルゲームの中で一番好き。ISLANDの話ばっかで恐縮ですが、よく考えたらISLANDもATRIも同じフロントウィングの作品だったので親和性高い。
ところでANIPLEX.EXEってなんだろうと思って調べてみたら、昨年の12月にアニプレックスより発足されたノベルゲームブランドでした。“ノベルゲームだから、おもしろい。”をテーマに掲げ、美少女ゲームを手がけてきたスタッフと共に作品を贈り出すとのこと。
もう少し深掘りして調べたところ、ANIPLEX.EXEの発足の背景や美少女ゲーム業界の課題を語っている座談会がありました。美少女ゲーム業界のトップ達が語る内容はとても深いです。
予想通り「ぬきたし」の名前が多く出てきていましたが、やはり業界的にそれだけ異彩ということですよね。
実際ぬきたし以降で業界の風向きは間違いなく変わった気がします。ニコニコ動画で度々ぬきたしのプレイ動画がランキングに入り、Twitterでは常に何千とRTがされるほどの注目度で、ぬきたしを機にエロゲーデビューをした若い人も多いらしく、美少女ゲーム業界は終わったとも言われる中で新規を増やしています。
何よりも完全なる新規ブランドの新作タイトルでこの盛り上がりを生んでいるのが相当革命的。
あと”美少女ゲームは表現の自由度が高い”というのもなるほどなと思います。
確かに、一枚絵だけで10分も語らせるという表現手法はアニメやラノベでは厳しく、美少女ゲームならでは。個人的にアニメでは映像がドンドン流れていきますが、美少女ゲームは読み手の思考速度に応じて展開を進めていけるので、感傷に浸りやすいという点は作品の深さに繋がっている気がします。エロゲーはエロシーンを入れられるというものアニメには無い強みです。
持論ですが、エロによって物語全体に深みが増すと思っています。一般漫画やアニメではエロによる複雑な人間関係や心情などを除くため、どこか現実味のないファンタジーな世界になっています。ですが、実際にこの世界で起きることの大半の出来事は、目に見えない人間の業や欲望がキッカケとなって始まって終わっているため、エロがある複雑性にこそ、リアルな人間模様を映し出せると思っています。
また、“エロが辛いのは、プラットホームから締め出された時に太刀打ちができない”というのも本当にそう思います。最近はエロに寛容なプラットフォームも増えていたり、クラファンやSNSが成熟してきていたり、ぬきたしのようなド直球な下ネタのエロゲーが日の目を見ているので本当にエロ自体は上向きだと思います。
こういう時流もあり、アニプレックスがこのタイミングでノベルゲームブランドを立ち上げたんだなと思います。
まとめ
今作の「ATRI」はISLANDやサマポケに次ぐ、夏を感じさせるゲームになっているのでこれからの時期もぴったり!
気になった方は是非!