車輪の国から人間の汚さと美しさを哲学的に学ぶ /#エロゲ紹介

PCゲーム
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こんにちは。蓮水椿です。

私は屈指の美少女ゲーム好きで、将来的にエロゲー業界を拡大できないか日々考えているのですが、そんな私がこれまでプレイした美少女ゲームの中で、人生観と価値観の変化や教養として人間性に深みを与えてくれた作品を紹介していこうと思います。初回である今回は私が人生で2番目に出会ったエロゲーである「車輪の国、向日葵の少女」を紹介します。

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車輪の国、向日葵の少女

あらすじ

罪を犯すと”特別な義務”を負わされる世界で、罪人を更生指導する”特別高等人”という職業を目指す主人公が、最終試験のためにある田舎町を訪れ、そこで「1日が12時間しかない」「大人になれない」「恋愛できない」といった特別な義務を負う少女たちを監督しながら学園生活を送る物語。人間の弱さや強さ、美しさや汚さといったリアルな心情描写を細かく描いたヒューマンドラマ。

ストーリー

無事、試験場にたどりついた。

小高い丘に登ると、都会では見られなかった豊かな色彩が視界に飛び込んできた。一本の道によって左右に分かれた向日葵の黄色が、空の青が、町を囲むように連なる山々の緑がふるさとを実感させる。初夏の強い陽射しに目を細めながら、森田賢一はいつものように心を曇らせた。

「昔のことは、忘れるしかない」

つぶやきは誰にも拾ってもらえなかった。けれど、ときどき思い出したように吐き捨てるのだ。賢一はひとりごとの多い青年だった。

「試験に合格して、とっとと特別高等人になるしかない」

陽炎の立ちのぼる道の先に視線を注ぐ。最終試験が実施されるくたびれた田舎町。水田のきらめきのなかで、木造の校舎がたわんで見えた。学園には義務を負う人々が多く通っていると聞く。ただ、賢一は、彼らのことを罪人だとは思わない。犯罪者の烙印を押すのは、常に、強大な力を持つ社会そのものだった。

賢一は、左手に提げているジェラルミンケースの中から一冊の本を取り出した。それは、日本という国が舞台のSF小説だった。手垢にまみれたページをめくりながら歩みを進める。

賢一の国において、罪の解釈は広い。

日本では、いくら働かずに自堕落な毎日を過ごそうとも、刑務所に送られるようなことはない。親の言いつけを守らなかったからといって、国がでしゃばって子供をしつけるような法もない。どんな極悪人にも人を愛する権利はある。

それが、賢一にとっては幸福に思える。

賢一の生きる社会では、怠惰は立派な犯罪であり、家長に従わない子供は矯正され、ときには自由な恋愛すら法によって禁止される。そして、それぞれの罪に応じた罰として、特別な義務を背負って生きるのだ。刑務所に入れられることはないが、日常生活に自由はない。囚人服を着る代わりに、服の目立つ場所に、罪人であることを示すバッジを貼り付けなければならない。異性との接触が禁止されたり、一日が十二時間に設定されたり、親権者に絶対服従しなければならなかったり……。

「クソな世の中だぜ」

人が聞けば選挙権を失うような発言を足先に放り投げ、それを踏みしめていると、いつの間にか試験前の緊張もやわらいでいた。

特別高等人の国家試験。それは年間に十人合格するかどうかの狭き門だ。賢一はそれまで自分が通過したテストの数々を思い浮かべるとき、その過酷さに、いつも青ざめる。

特別高等人の役目は、罪人、つまり、義務を負った人々を更正指導することにある。世の中には、多種多様な義務があり、特別高等人はあらゆる状況に対処しなければならない。したがって、他人の行動を予測する心理学、暴れる罪人を取り押さえる体術など、人を管理するための能力全般が求められたのだ。

最上級の国家公務員として、特別高等人には強大な権限が与えられている。必要とあれば罪人の基本的人権を剥奪し、プライバシーを侵害することはおろか、生殺与奪すら自由なのだ。それゆえに、彼らは人が人を裁く意義と危うさを理解している。人格面においても、常に公共の福祉を最優先に考えて行動するよう叩き込まれる。

賢一が目指す特別高等人とは、いわば、刑務所という場を必要としなくても罪人を監督できる、極めて有能な看守だった。

賢一は日本をうらやみながら本を閉じた。山風が吹き渡る。向日葵の少し日に焼けた花びらが、まるで波頭のように滑っていく。日向夏咲を発見できたのは、少女のリボンが、黄色い海のなかで、ひときわ鮮やかに波打っていたからだ。

――ケンちゃんがね、いいんだよ。

淡い記憶がよみがえる。まぶしいくらいの笑顔と、手のひらのぬくもり。生意気な妖精のような声は、けれど、森田賢一の胸奥にひっかき傷をつけていた。

直後、賢一は少女から逸らそうとしていた目を大きく見開いた。まぶたの裏がひきつってひりひりと痛む。肩と、胸と、背中の三箇所。そのバッジは、夏咲にはとうてい似合わない。薄汚い結婚詐欺師が負うようなみじめな罰則。

ため息を放るようにあごをしゃくった。陽射しが賢一の顔に向かって一直線に降り注ぐ。田舎の広い空は七年前とまったく変わらない。賢一はうしろめたい過去を振り払うように、はっきりと幼馴染を見据えた。

そうして、一歩、踏み出した。

車輪の下に押し潰されるように、息苦しい社会。

正義の象徴である、向日葵に向けて。

引用:http://www.akabeesoft2.com/products/syarin/story.html

レビュー

ストーリーのさわりでは田舎の情景がまるで映像として眼に浮かぶような細かい描写と、怠惰というだけで犯罪者として罰せられるような厳しい社会と犯罪者を更生する特別高等人の存在について語られています。

私は本作のこういった特殊な社会背景と世界観の細かい描写が好きなので、この作品の魅力が詰まっている上記のストーリーのさわりの部分を公式サイトから引用させていただきました。

本編では、主人公の森田賢一が特別な義務を負っている女の子を更生していきますが、人間の生きる上での大切なことを少女を通して教えてくれます。

例えば自堕落な生活を送っていたために「1日が12時間しかない義務」を負っている少女からは時間の大切さを、親の言うことを絶対服従する「大人になれない義務」を負っている少女からは、大人になったらいつの間にか失ってしまう純粋な心を思い出させられ、異性と接触してはいけない「恋愛できない義務」を負う少女からは愛と信念の強さを学びました。

また、主人公を監督する上官(CV若本規夫)が非常に冷徹で主人公を追い込んでいくのですが、ハッと人間の本質を突く発言が多く、社会や人間の甘さについて考えさせられました。彼の言葉は「名言」として語られており、自分も思い出しては気が引き締まる含蓄のある言葉が多いので、名言も後ほど紹介します。

また本作は終盤の伏線回収と叙述トリックによる大どんでん返しが圧巻で、私はいまだに車輪の国以上に綺麗な伏線回収を見たことがありません。それほどまでに伏線回収は美しく、車輪の国が名作たらしめる所以だと思います。

やはり10年近く前に発売されたこともあり、作画やギャグに多少古さを感じることもありますが、人間の本質や社会のうねりを捉えた名言の数々は永久に色褪せることはないので、気になった方はこれを機に是非プレイしてみてください。

名言集

指導者は、謝るな。

誰かに責任を押し付けられない立場の人間の謝罪が許される社会は堕落の一途を辿る

人生は、上がるか下がるか。現状維持などない。

なぜなら、自分が成長しなくても時間だけは過ぎていくからだ。

よく覚えておけ……管理とは、成長させることだ。

現状を維持することではない

お前らはそうやって、すぐ、わかりやすい悪に飛びつく。

いつでも誰かに責任を取ってもらおうとする。

国が、資格が、こんな特許が、親が、信頼する友人がこういったから…

すぐ、安心し、思考を停止する。そのくせ、裏切られたときには、豚のようにわめき散らす。

人はすぐに忘れる。自分の損得に関係のない話を覚えようとしない。

ならば、話を忘れると損をするということを教えなければならない。

そうして、社会に罰則というものができた。

罰則は必ず明文化されている。忘れてましたとは言わせないためにだ。

いわれた事しかできない人間を三流。

いわれた事を上手にできる人間で、ようやく二流。

森田はいつになったら一流になるんだ?

個人ののろまな足並みにペースを合わせていたら、社会が成り立たん。

娘の意思を尊重しただけだ。そして、その意思が、脆弱なものであるという、その過程を森田の後学のために見せておこうと思ったのだ。

人に決断させられない人間は、人の上に立てんぞ。

今の世の中、どれだけ知識があってもダメなの。

知識を知恵に変えて、行動に移せる能力こそが問われる社会なのよ。

あなたがどれだけ知識を持っていても、いざって時にそれを発揮出来なかったらダメでしょう?

要するに胆力よ!

どんな人の前でもどんな状況でも、自分の意志を伝えることができる強さを持ちなさい。

資格なんて、所詮は社会が決めた基準の一つでしかないわ。

弱いやつほどそういったものにすがるのよ、資格とか、学歴とかね。

世の中なんて、自分の見方一つで地獄にも天国にもなるわ。

過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる。

言いたいことは二つ。おれをあんまり信用するなってこと。

いや、信用して信頼してくれてもいいけど、期待したり、依存したりするなってこと。

それから、自分で考えない人間は、考える人間に利用されて生きるだけだってこと。

利用されてる人間は気づかないだけ。

今、さちは後で思い返して、あの時頑張ってよかったって思える時間を作っているんだ。

変われるから、きっと人生って楽しいんだよね。そんでもって、成長することも、人間である証の一つだと思うんだよね。

上手く言えないけど、楽しいことなんて、たくさん転がってて、気持ち良いことは、簡単に見つけられて、笑い声は、どこからでも聞こえてくるんだよ!

料理という技術が学びたければ、料理の専門学校に行けばいい。

車の免許が欲しければ、教習所に通えばいい。

でも、母親の技術はどこでどうやって学べばいいのかしらね?

この記事を書いた人
蓮水椿

都会の喧噪から離れてゆったりと運営するブログです。カフェのような落ち着きと訪れた人のサードプレイスになれるような居心地の良いサイトを目指しています。

蓮水椿はただの概念。エロ×◯◯に興味があり、最近はファンテック領域を勉強しています。その他日常の学びと経験をアウトプットします。ここはそんな私の脳の置き場。

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